【大相撲王鵬】知られざる素顔と力士人生に迫る

「大相撲の王鵬(おうほう)」――その名を聞いて、多くの相撲ファンがまず思い浮かべるのは、相撲史上不滅の金字塔を打ち立てたある偉大な横綱の存在でしょう。王鵬幸成(おうほう こうせい)は、まさにその伝説的な横綱、大鵬幸喜(たいほう こうき)の孫にあたります。しかし、彼は単に「偉大な祖父を持つ力士」というだけではありません。自身の力と努力で大相撲の土俵を駆け上がる、注目の若手力士です。この記事では、王鵬幸成とは一体どのような力士なのか? なぜこれほどまでに注目を集めるのか? その具体的な疑問に、詳細かつ具体的に答えていきます。

王鵬幸成とは? その基本情報

王鵬幸成は、本名を納谷幸成(なや こうせい)といいます。現在の四股名(しこな)である「王鵬」は、まさに祖父である大鵬の「鵬」と、父である元関脇・貴闘力忠茂(たかとうりき ただまさ)の「王」を組み合わせたものであり、彼の相撲一家としての背景を強く感じさせます。

  • 本名: 納谷 幸成(なや こうせい)
  • 四股名: 王鵬 幸成(おうほう こうせい)
  • 生年月日: 2000年2月14日
  • 出身地: 東京都江東区
  • 所属部屋: 大嶽部屋(おおたけべや) – 奇しくも、この部屋の師匠は大鵬の娘であり、王鵬にとっては叔母にあたる納谷美絵子(なや みえこ)が部屋付き親方の元大嶽親方(父:貴闘力)と離婚後、名跡を継承しています。王鵬を指導するのは父である元貴闘力でもあります。
  • 現在の番付: 時点によって変動しますが、彼は既に大相撲の最高位である幕内(まくうち)に昇進し、三役(小結、関脇、大関)の一角である小結の地位も経験しています。トップレベルで戦う力士であることは間違いありません。
  • 身長: 約187cm
  • 体重: 約175kg

この恵まれた体格は、大相撲において大きな武器となります。しかし、単に大きいだけでなく、それを活かす技術と力が伴っているのが彼の強みです。

なぜ王鵬はこれほどまでに注目されるのか? – 比類なき相撲一家の血筋

王鵬がデビュー以来、常に大きな注目を集めてきた最大の理由は、彼の並外れた相撲一家の血筋にあります。

彼の祖父は、昭和の大横綱であり、優勝回数32回という前人未到の記録を打ち立てた大鵬幸喜(たいほう こうき)。「巨人・大鵬・卵焼き」という流行語にもなったほど、国民的な英雄でした。

彼の父は、闘志溢れる相撲で鳴らし、幕内上位や三役(最高位は関脇)で活躍した元関脇 貴闘力忠茂(たかとうりき ただまさ)。

さらに、彼の兄である納谷(なや)も、弟の王鵬より先にデビューし、一時は東龍(あずまりゅう)の四股名で関取(十両以上の力士)として活躍しました(現在は引退)。また、従兄弟にあたる琴勝峰(ことしょうほう)も、同じく幕内で活躍する注目の若手力士です。

このように、王鵬はまさに「相撲サラブレッド」と呼ぶにふさわしい家系に生まれています。特に、大横綱・大鵬の孫であるという事実は、彼に対するファンや関係者の期待、そして彼自身のプレッシャーを非常に大きなものにしています。祖父と同じ「鵬」を四股名に冠したことからも、その覚悟が伺えます。この「偉大な祖父のDNAを受け継ぐ力士」という物語性が、彼の相撲人生に常に寄り添い、多くの人々の関心を引きつける最大の要因となっています。

王鵬の相撲スタイルと強み – どのように戦うのか?

王鵬は、その恵まれた体格を活かした、力強い相撲を持ち味としています。

主な相撲スタイル

  • 突き押し(つきおし): 立ち合いから相手に当たってすぐに突き放したり、押したりして土俵の外へ出す相撲。彼の大きな体から繰り出される馬力のある突き押しは、相手を後退させる力があります。
  • 四つ(よつ): 相手のまわしを取って組み合う相撲。王鵬は突き押しだけでなく、まわしを取ってからの攻めにも対応できます。特に右四つ(相手の左まわし、自分の右まわしを取る形)からの攻めを得意とする傾向が見られます。

彼の相撲の根幹にあるのは、父である貴闘力から受け継いだと言われる、前に出る圧力と闘志です。立ち合いの当たりは強く、そのまま一気に相手を押し出す相撲を得意としています。しかし、相手に組まれても簡単には崩れず、じっくりと自分の形を作って寄り切る力も備わってきています。経験を積むにつれて、相撲の幅も広がっており、様々な相手に対応できるようになりつつあります。特に、土俵際の粘りや、逆転の技も見せるなど、勝負度胸も持ち合わせています。

どこで生まれ、どこで鍛える? – 彼の出身と部屋での生活

王鵬は東京都江東区の生まれです。まさに大相撲の本場所が開催される国技館のお膝元とも言える場所で育ちました。相撲一家に生まれた彼は、自然と相撲が身近にある環境で成長しました。

彼がプロの力士として所属するのは、前述の通り大嶽部屋です。大嶽部屋は、父である元貴闘力が運営に深く関わっており、王鵬は父の直接指導のもと、日々の厳しい稽古に励んでいます。

部屋での典型的な一日(力士の日常)

力士の生活は非常に規律正しく、稽古中心の生活です。王鵬のような関取衆(十両以上)は、特に厳しく、かつ責任のある立場での稽古を行います。

  • 早朝: 起床後、すぐに稽古場へ向かいます。番付の低い力士から稽古を開始し、番付が上がるにつれて稽古時間も長くなります。関取である王鵬は、稽古場の最後の方で登場し、最も激しい稽古を行います。
  • 午前: ぶつかり稽古(相手に体当たりを繰り返し、前に出る力を養う)、申し合い(複数の力士が次々と相撲を取る実戦形式の稽古)、すり足(相撲の基本となる足腰の鍛錬)など、多岐にわたる稽古を行います。この時間の厳しさが力士の強さを支えます。
  • 昼食: 稽古後、部屋でちゃんこ鍋を中心とした食事を摂ります。大量のエネルギーを摂取するため、力士にとって非常に重要な時間です。
  • 午後: 休息や体のケア(マッサージなど)を行います。翌日の稽古や場所(本場所)に備えて体を休ませる時間です。
  • 夕方〜夜: 食事や自由時間となりますが、門限があり、勝手な外出は制限されます。

このような集団生活の中で、王鵬は技術だけでなく、力士としての礼儀や精神力も磨いています。父であり指導者でもある元貴闘力からは、相撲の技術はもちろん、力士としてのあるべき姿についても厳しく教えを受けていると言われます。

王鵬の相撲人生 – これまでの歩みは?

王鵬の相撲人生は、期待とプレッシャーの中で着実に階段を上ってきました。

主な経歴

  1. 中学卒業後、大嶽部屋へ入門: 中学時代から相撲で実績を上げ、高校には進学せず、父が指導する大嶽部屋に入門することを決めました。
  2. 初土俵: 2018年3月場所で初土俵を踏みました。同期には後の横綱・照ノ富士(当時大関)などがいます。
  3. 各段優勝: 下の番付(序ノ口、序二段、三段目、幕下)では、しばしば優勝争いに絡み、昇進を重ねていきました。
  4. 十両昇進: 2020年11月場所で新十両に昇進し、関取の仲間入りを果たしました。これにより、月ごとの給与が支給されるなど、待遇も変わります。
  5. 幕内昇進: 2022年1月場所で新入幕を果たし、大相撲の最高峰である幕内力士となりました。これは、祖父・大鵬、父・貴闘力に続く快挙であり、相撲一家のDNAを再び証明しました。
  6. 三役昇進: 2023年3月場所で新小結に昇進し、自身初の三役の地位を獲得しました。これは、力士としての実力が認められた証であり、更なる期待が高まりました。

彼の昇進スピードは、近年では比較的早い部類に入ります。幕内昇進を果たした際には、祖父・大鵬が優勝した場所の番付(1960年11月場所)と同じ西前頭十三枚目だったことも、運命的な巡り合わせとして話題になりました。順調に番付を上げてきた一方で、怪我や壁にぶつかることもあり、番付を落とす経験もしています。しかし、その都度這い上がり、再び上位を目指す粘り強さも彼の魅力です。

相撲力士の「収入」はどれくらい? 王鵬の場合

相撲力士の収入は、その番付によって大きく異なります。幕下にいる力士は、基本的に給与がなく、場所ごとの手当や報奨金で生活をしていますが、十両以上の関取になると、月給が支給されるようになります。

王鵬は現在幕内力士であり、三役経験者でもあるため、関取の中でも上位の給与を受け取っています。

幕内力士の主な収入源(目安)

  • 月給: 約140万円(幕内力士の標準的な月給。番付によって多少変動します)
  • 本場所手当: 各場所ごとに支給される手当
  • 褒賞金(持ち給金): 積み立て式の退職金のようなもので、場所ごとに加算されていきます。
  • 懸賞金(けんしょうきん): 勝負に勝った際に、取組に懸けられた企業などからの賞金。一本あたり約3万円が力士に入ります。上位の力士や注目力士の取組には多くの懸賞がかかる傾向があります。
  • 給与・賞与以外の諸手当: 特別手当なども存在します。

これらの収入を合わせると、幕内上位や三役で活躍する王鵬の年収は、一般的な会社員の年収を大きく上回るものとなります。特に懸賞金は、活躍すればするほど増えるため、本場所での成績が直接収入に結びつきます。もちろん、厳しい稽古や体調管理など、その収入を得るための努力は並大抵のものではありません。

王鵬の主な実績と今後の展望

王鵬はこれまでのキャリアで、着実に実績を積み上げてきました。

主な実績

  • 新入幕: 2022年1月場所
  • 新小結: 2023年3月場所(三役昇進)
  • 金星獲得: 横綱を破る番狂わせである「金星」も複数回獲得しています。これは、彼の相撲の質の高さを示すものです。
  • 三賞獲得: 敢闘賞など、場所での活躍に対して贈られる三賞も受賞しています。

祖父・大鵬の偉大さ故に、「いつか横綱に」という周囲の期待は常にありますが、まずは自身の目標である「三役での定着、そして大関昇進」を目指して日々精進しています。小結から一度番付を落としましたが、再び上位を目指す力は十分に備わっています。

今後の展望としては、自身の相撲をさらに磨き、幕内上位で安定して勝ち越せるようになることが重要です。突き押しだけでなく、相手に組まれた際の対応力や、状況判断能力を高めることで、更なる高みを目指せるでしょう。祖父の名前を背負う重圧を力に変え、自身の力士人生を切り開いていく王鵬の今後の活躍から目が離せません。相撲一家の伝統を受け継ぎながらも、独自の力士像を確立していく彼の相撲に、多くのファンが期待を寄せています。


大相撲王鵬

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