2021年春に放送され、多くの視聴者や批評家から高い評価を得たテレビドラマ「大豆田永久子と三人の元夫」。松たか子さんが主演を務め、3回離婚を経験した女性・大豆田永久子と、彼女の人生に何かしらの形で関わり続ける個性豊かな3人の元夫たちとの関係性を描いたユニークな作品です。このドラマについて、さまざまな角度から掘り下げてみましょう。

「大豆田永久子と三人の元夫」とは一体どんなドラマなのか?

本作は、大豆田永久子という40代の女性が主人公の物語です。彼女は建設会社の社長でありながら、これまでに3度の結婚と3度の離婚を経験しています。物語は、そんな彼女が、仕事や私生活、そして3人の元夫たちとの間に繰り広げる日常を、時にコミカルに、時に切なく、そして独特なユーモアを交えながら描いていきます。ジャンルとしては、ロマンティック・コメディであり、同時に登場人物たちの内面や人間関係を深く掘り下げる群像劇人生賛歌としての側面も持ち合わせています。単なる恋愛ドラマではなく、現代社会における家族、結婚、離婚、そして自分らしい生き方といったテーマが、軽妙かつ示唆に富んだ会話を通じて提示されるのが特徴です。

主要な登場人物と、彼らは「誰」なのか?

ドラマの核となるのは、もちろん主人公の大豆田永久子と、彼女の3人の元夫たちです。彼ら一人ひとりが全く異なる個性を持っており、永久子との関係性もそれぞれ異なります。

  • 大豆田永久子 (おおまめだ とわこ):演じるのは松たか子さん。バツ3の建設会社社長。仕事はできるが、どこか不器用で抜けている部分もあるチャーミングな女性。常に前を向こうとするが、元夫たちの存在や、過去の失敗がつきまとうことも。
  • 田中八作 (たなか はっさく):演じるのは松田龍平さん。永久子の最初の夫。ギャップのあるレストラン経営者兼ギャルソン。独特の空気感を持ち、どこか捉えどころがない人物。
  • 佐藤鹿太郎 (さとう かたたろう):演じるのは角田晃広 (東京03)さん。永久子の二番目の夫。偏屈で人間味あふれる弁護士。永久子に対して未練があり、何かとちょっかいを出してくる。
  • 中村慎森 (なかむら しんしん):演じるのは岡田将生さん。永久子の三番目の夫。理屈っぽくて屁理屈ばかりこねるエリート医師。永久子とは口喧嘩が絶えないが、なぜか気になる存在。

これら4人のメインキャストを中心に、永久子の娘や会社の同僚など、物語を彩る個性豊かなキャラクターたちが登場します。

なぜ永久子と元夫たちは離婚しても関わり続けるのか?

これがこのドラマの最もユニークな設定であり、「なぜ?」に対する答えは、物語自体が提示する「現代における新しい関係性の形」にあります。単純に復縁を目指しているわけではなく、かといって完全に縁を切ったわけでもない、曖昧で複雑な関係性です。

ドラマの中では、元夫たちが永久子の会社の株主であったり、永久子の娘の父親(うち一人)であったり、あるいは単に「情」や「腐れ縁」で繋がっていたり、様々な理由が描かれます。しかし、根底にあるのは、彼らが互いの人生に少なからず影響を与え合ってきた事実と、完全に断ち切れない「過去」の存在です。そして、彼らが時に永久子を助け、時に困らせながらも、結局は彼女の周りに集まってきてしまう、どこか憎めないキャラクターであることが、この「関わり続ける」設定を成り立たせています。これは、従来の「結婚か離婚か」という二元論ではない、多様化する人間関係や家族の形を示唆しているとも言えます。

このドラマは「どこ」で放送され、「いつ」見ることができたのか? また、現在どこで見られるのか?

「大豆田永久子と三人の元夫」は、フジテレビ系列2021年4月13日から6月15日まで、火曜日の21時枠(通称「火9」)で放送されました。

放送終了後もその人気は高く、現在では多くの動画配信サービスで視聴することが可能です。具体的なプラットフォームは時期によって変動する可能性がありますが、一般的にはNetflix、U-NEXT、FOD(フジテレビオンデマンド)などで配信されていることが多いです。これらのサービスに加入していれば、好きな時に全話を通して見ることができます。

シリーズ全体の「エピソード数はどのくらい」で、「1話あたりの放送時間はどのくらい」か?

このドラマの全エピソード数は10話です。日本の多くの連続ドラマと同様に、約2ヶ月半のクールで放送されました。

1話あたりの放送時間は、CMを含めると約54分です。これは一般的なプライムタイムの連続ドラマの枠尺です。ただし、初回や最終回など、一部の回は拡大スペシャルとして放送時間が延長されることもあります。

ドラマは「どのように」展開し、「どのような」トーンで描かれるのか?

物語は基本的に1話完結に近い形でありながら、各エピソードを通じて永久子自身の成長や、元夫たちとの関係性の変化が少しずつ描かれていく連続性も持ち合わせています。各話では、永久子と元夫の一人、あるいは複数人との間に起こる出来事が中心に描かれ、そこでの会話ややり取りを通して、登場人物たちの抱える悩みや過去、そして現在の心情が浮き彫りになっていきます。

ドラマのトーンは非常に独特です。脚本家・坂元裕二氏による巧みで遊び心に溢れたセリフ回しが最大の魅力で、日常的な会話の中に哲学的な問いかけやシュールな笑いが散りばめられています。登場人物たちの心の声や、独特のナレーション(伊藤沙莉さんが担当)が挿入されることもあり、視聴者は彼らの感情や思考をより深く知ることができます。コメディとシリアスのバランスが絶妙で、笑っていたかと思えば、ハッとさせられるようなセリフや展開があり、視聴者の心を揺さぶります。全体として、派手な事件は起こりませんが、登場人物たちの「会話」と「関係性」によって物語が進んでいく、会話劇としての要素が強い作品です。

このドラマは「どのように」評価され、視聴者の反応はどのようなものだったのか?

「大豆田永久子と三人の元夫」は、放送中から批評家やドラマファンから絶賛されました。特に、脚本の質の高さ、役者陣の演技力、そして映像や音楽を含めた作品全体の完成度が高く評価されました。

  • 脚本:「セリフが面白い」「キャラクターが生きている」「人間関係の描写がリアル」といった声が多く聞かれました。坂元裕二氏の真骨頂とも言える、一見普通なのに忘れられない独特な言い回しや、登場人物たちの本音が垣間見える会話が多くの視聴者を魅了しました。
  • 演技:松たか子さんをはじめ、松田龍平さん、角田晃広さん、岡田将生さんの4人の主演キャストのアンサンブルが特に賞賛されました。それぞれのキャラクターを見事に演じ分け、彼らの自然で息の合ったやり取りがドラマに深みを与えました。
  • その他:主題歌であるSTUTS & 松たか子 with 3exesによる「Presence」が毎回異なるバージョンでエンディングを彩る演出や、登場人物たちのファッション、美術なども注目されました。

これらの高い評価は、東京ドラマアウォード2021で連続ドラマ部門・グランプリを受賞するなど、多くの賞に繋がりました。視聴者の間でも、「今期のベストドラマ」「セリフを書き留めたくなる」「繰り返し見たくなる」といった熱狂的な声が多く上がり、SNSを中心に大きな話題となりました。従来の恋愛ドラマとは一線を画す、大人向けの、少しひねりの効いたドラマとして、広い層に受け入れられたと言えるでしょう。

この素晴らしい脚本は「誰」によって書かれたのか?

このドラマの最大の魅力である脚本を手掛けたのは、日本のテレビドラマ界を代表する脚本家の一人、坂元裕二 (さかもと ゆうじ)さんです。

坂元裕二さんは、「東京ラブストーリー」「Mother」「それでも、生きてゆく」「最高の離婚」「カルテット」「anone」など、数々の名作、話題作を生み出してきた脚本家です。特に、登場人物の内面を深く描き出す筆致、そして独特なリズムとユーモア、そして切なさを兼ね備えた会話劇を得意としています。「大豆田永久子と三人の元夫」は、まさに坂元裕二さんの持ち味が高次元で発揮された作品であり、彼のファンにとっては待望の一作でした。登場人物たちが交わす何気ない会話の中に、人生の本質や現代社会への皮肉、そして温かいメッセージが込められているのが彼の脚本の真骨頂であり、本作でもそれが遺憾なく発揮されています。

このように、「大豆田永久子と三人の元夫」は、ユニークな設定、魅力的なキャラクター、そして何よりも坂元裕二氏による質の高い脚本が融合した、記憶に残るドラマです。まだご覧になったことがない方は、ぜひ一度触れてみてはいかがでしょうか。


大豆田永久子与三名前夫