定形外郵便は、日本郵便が提供する郵便サービスの一つで、「定形郵便」のサイズ・重さの規定を超えてしまう荷物や品物を送る際に利用されます。日常的に小さな荷物や厚みのある物を送る機会がある方にとっては、非常に身近で便利なサービスと言えるでしょう。しかし、「定形外郵便」と一口に言っても、その具体的なルールや利用方法について、詳しく知らない方もいるかもしれません。

この記事では、定形外郵便について、「それは何か」「なぜ使うのか」「どこで出せるのか」「いくらかかるのか」「どうやって送るのか」といった、利用する上で知っておきたい具体的な疑問点を掘り下げ、詳しく解説します。

定形外郵便とは?(サイズ・重さの基本)

まず、「定形外郵便」がどのような郵便物かという基本的な定義から始めましょう。これは文字通り、定形郵便(サイズが最大で長辺23.5cm、短辺12cm、厚さ1cm、重さ50gまでの、いわゆる「普通の手紙」)の規格から外れるものを送るためのサービスです。

定形外郵便には、さらに二つの区分があります。

定形外郵便(規格内)

こちらは、定形郵便よりは大きいけれど、特定の「規格」に収まるものです。

  • サイズ:長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内
  • 重さ:1kg以内

A4サイズのファイルや、薄手の衣類、書籍などを送るのに適しています。最小サイズは定形郵便と同じく長辺14cm、短辺9cmです。

定形外郵便(規格外)

「規格内」のサイズや重さの制限を超えるものはこちらになります。

  • サイズ:3辺の合計が90cm以内(最長辺は60cm以内)
  • 重さ:4kg以内

この「規格外」は、かなり大きなものや重いものを送ることが可能です。箱に入った商品や、ある程度の大きさのある物品を送る際に利用されます。ただし、重さの上限が4kgである点には注意が必要です。

定形外郵便として送るには、これらのサイズと重さの両方の条件を満たす必要があります。

どんな時に定形外郵便を選ぶ?(メリット・デメリット)

定形外郵便を選ぶ「なぜ?」について考えてみましょう。数ある発送方法の中で、どのような場合に定形外郵便が適しているのでしょうか。

メリット

  • 送料が比較的安い:特に軽量の物品を送る場合、宅配便などに比べて送料を安く抑えられることが多いです。規格内であれば、さらに料金が細かく分かれており、軽いほど安くなります。
  • 簡単な手続き:特別な契約や伝票記入は必須ではありません。宛名を書いて、料金分の切手を貼り、ポストに投函するか郵便局に持ち込むだけです。
  • 多様な形状を送れる:箱状のものだけでなく、筒状のものや、ある程度いびつな形状のものでも送ることが可能です(ただし、適切な梱包は必要です)。

デメリット

  • 追跡サービスが標準ではない:原則として、追跡番号が付与されないため、発送した荷物が今どこにあるのか、配達が完了したのかどうかをリアルタイムで確認することができません。
  • 補償がない:万が一、輸送中に紛失したり破損したりした場合でも、基本的に損害賠償を受けることができません。
  • 土日祝日の配達がない:普通郵便と同じ扱いですので、原則として土曜日、日曜日、祝日の配達はありません。お届けまでに日数がかかる場合があります。
  • 受領印が不要な場合が多い:多くの場合、受箱への投函となるため、受取人の捺印やサインは必要ありません。ポストからの盗難などのリスクがないとは言えません。

定形外郵便は、追跡や補償が不要で、少しでも送料を安く抑えたい場合、または送りたいものが定形郵便の規格に収まらない場合に適した発送方法です。特に、フリマアプリやオークションサイトでの個人間取引で、安価な商品を発送する際によく利用されます。

定形外郵便の料金はいくら?(サイズと重さで決まる)

定形外郵便の料金は、送る荷物の「サイズ」と「重さ」によって決まります。前述の「規格内」か「規格外」かで料金体系が異なり、それぞれ重さごとに細かく料金が設定されています。

定形外郵便(規格内)料金表(2024年現在)

規格内の料金は以下の重さ区分で設定されています。

  • ~50gまで:120円
  • ~100gまで:140円
  • ~150gまで:210円
  • ~200gまで:250円
  • ~250gまで:300円
  • ~500gまで:350円
  • ~1kgまで:510円

※上記は2024年現在の料金です。料金改定の可能性もありますので、最新の情報は日本郵便の公式サイトでご確認ください。

定形外郵便(規格外)料金表(2024年現在)

規格外の料金は以下の重さ区分で設定されています。

  • ~50gまで:200円
  • ~100gまで:220円
  • ~150gまで:300円
  • ~200gまで:350円
  • ~250gまで:390円
  • ~500gまで:580円
  • ~1kgまで:870円
  • ~2kgまで:1,320円
  • ~4kgまで:1,600円

※上記は2024年現在の料金です。料金改定の可能性もありますので、最新の情報は日本郵便の公式サイトでご確認ください。

送りたい物のサイズと重さを正確に測り、どちらの区分に該当するか、そしてどの重さの料金になるかを確認することが重要です。特に、ぎりぎりのサイズや重さの場合は、郵便局の窓口で確認してもらうのが確実です。

定形外郵便の送り方・出し方

では、実際に定形外郵便を出すにはどうすれば良いのでしょうか。手続きは比較的簡単です。

発送前の準備

まずは送る物品の準備です。

梱包(こんぽう)

送るものが壊れやすい場合は、プチプチなどの緩衝材でしっかりと包みましょう。箱や袋に入れて、輸送中に中身が出たり破損したりしないように、しっかりと封をします。特に「規格外」の場合はある程度の大きさになることも多いので、丈夫な段ボール箱などが適しています。

宛名書き(あてながき)

送付先の郵便番号、住所、氏名を正確に記載します。差出人として、ご自身の郵便番号、住所、氏名も忘れずに記載しましょう。縦書き、横書きどちらでも構いません。はがれにくいように、しっかりと貼り付けられるラベルや、直接油性ペンで書くのが良いでしょう。

料金の支払い

サイズと重さを測り、前述の料金表を確認して、必要な分の郵便切手を用意します。

  • 切手を貼る場合:郵便物の表面の右上に、計算した料金分の切手を貼ります。料金が不足していると、相手に届かなかったり、受取人に不足分が請求されたりするので注意が必要です。
  • 郵便局窓口で支払う場合:郵便局の窓口に郵便物を持っていき、「定形外郵便で送りたい」と伝えましょう。職員がサイズと重さを測り、正確な料金を計算してくれます。その場で料金を支払い、領収書を受け取ります。この方法が最も確実です。

郵便物を出す場所

料金の支払いが完了したら、郵便物を差し出します。

郵便ポスト

郵便ポストの投入口に入るサイズであれば、切手を貼ってポストに投函することも可能です。ただし、厚みのあるものや重いものは、ポストに入りにくかったり、中で詰まってしまったりする可能性もゼロではありません。心配な場合は郵便局窓口を利用しましょう。

郵便局窓口

切手を貼った郵便物も、窓口で料金支払いをした郵便物も、郵便局の窓口に差し出すことができます。重いものや大きいものは、ポストよりも窓口への持ち込みがおすすめです。特定記録などのオプションサービスを利用する場合も、必ず窓口で手続きが必要です。

追跡や補償はどうする?(オプションサービス)

定形外郵便のデメリットとして触れたように、基本サービスには追跡や補償が付いていません。しかし、追加料金を支払うことで、これらのサービスを付加することが可能です。

利用できる主なオプションサービス

  • 特定記録(とくていきろく):郵便物等が差し出されたこと、および配達されたことについて記録するサービスです。郵便追跡サービスで配達状況を確認できますが、万一の場合の損害賠償は行われません。追跡はできますが、補償はないサービスです。定形外郵便の料金に加え、規定の追加料金がかかります。郵便局の窓口でのみ扱えます。
  • 簡易書留(かんいかきとめ):引き受けから配達までの送達過程を記録し、万一の場合には原則として5万円までの実損額が賠償されます。受取人様の捺印または署名が必要です。特定記録よりも料金は高くなりますが、追跡と一定額の補償が付くサービスです。郵便局の窓口でのみ扱えます。
  • 一般書留(いっぱんかきとめ):簡易書留よりさらに手厚いサービスで、500万円を上限とする実損額が賠償されます。貴重品などを送る場合に利用されます。追跡記録もより詳細です。料金は簡易書留より高くなります。郵便局の窓口でのみ扱えます。
  • 速達(そくたつ):通常より早く配達するサービスです。お急ぎの場合に利用します。定形外郵便の料金に加え、重さによって定まる速達料金がかかります。郵便局の窓口や、速達郵便の投入口があるポストで出すことができます(ただし窓口が確実です)。

これらのオプションサービスを利用したい場合は、必ず郵便局の窓口で手続きを行い、必要な料金を支払ってください。特に特定記録や書留は、窓口での引き受け記録が必要です。

まとめ

定形外郵便は、サイズや重さが定形郵便の規格を超える様々な物品を、比較的安価に送ることができる便利なサービスです。送る物のサイズや重さによって「規格内」と「規格外」に分かれ、それぞれ料金体系が異なります。

追跡や補償は基本サービスには含まれませんが、特定記録や書留といったオプションサービスを追加することで、ニーズに応じたより安全な発送方法を選択することも可能です。

梱包、宛名書き、料金計算(切手)、そして郵便ポストへの投函または郵便局窓口での差し出しというステップで送ることができます。特に、正確な料金を知りたい場合やオプションサービスを利用したい場合は、郵便局窓口での手続きをおすすめします。

これらの情報を参考に、送りたいものに最適な発送方法として、定形外郵便を上手に活用してみてください。常に最新の料金や規定を確認するためには、日本郵便の公式サイトをご確認いただくことをお勧めします。

定形外郵便

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