【星取表大相撲】とは何か?何を記録しているのか?

大相撲における「星取表(ほしとりひょう)」とは、場所(本場所)の全日程(通常15日間)にわたる各力士の毎日の取組結果と、その時点での通算成績を一覧にしたものです。これは場所が進むにつれて毎日更新され、力士個々の成績や、場所全体の戦況を把握するための最も基本的かつ重要な情報源となります。

星取表には、単に勝敗の結果だけでなく、以下のような情報が記載されます。

  • 力士の番付・四股名: 東西それぞれの番付と力士の正式な名前が記載されます。
  • 各日の取組結果: 場所初日(一日目)から千秋楽(十五日目)までの、それぞれの日の勝敗結果が記されます。
  • 途中成績: その日を終えた時点での通算の勝ち星と負け星の数が併記されることが一般的です。
  • 最終成績: 千秋楽を終えた時点での最終的な通算成績(〇勝△敗)が記録されます。

まさに、力士が場所を通してどのような成績を収めたか、その軌跡を記録した「成績証明書」のような役割を果たしています。

星(勝ち)と黒丸(負け)の意味

星取表の名前の由来ともなっているのが、「星」と「黒丸」の記号です。

  • 星(☆ または ○、白星とも呼ぶ): その日の取組に「勝った」ことを意味します。
  • 黒丸(● または ●、黒星とも呼ぶ): その日の取組に「負けた」ことを意味します。

なぜ「星」を勝ちに使うのかについては諸説ありますが、古くは相場などで良い結果を「星」で示したことに由来するとも言われています。この「星」をどれだけ多く「取る」ことができるかが、力士にとって場所の成果を測る最も直接的な指標となります。

また、不戦勝(相手の休場などにより取組を行わずに勝ちとなること)は「不戦勝」、不戦敗(自身の休場などにより取組を行わずに負けとなること)は「不戦敗」と明記されるか、特殊な記号や文字で区別される場合もあります。

なぜ「星取表」と呼ばれるのか?名称の由来

なぜ「勝敗表」ではなく「星取表」と呼ばれるのでしょうか。これは前述の「星」が勝ちを意味する記号として用いられることに由来します。古来より、様々な記録において「良い結果」を「星」で示す習慣があったとされ、相撲においても勝ち星をいくつ積み上げられるか、つまり「星をどれだけ多く取れるか」が重要視されてきました。この勝ち星を記録する表であることから、「星取表」という名前が定着したと考えられています。力士が「星を重ねる」「星を伸ばす」といった表現も、この文化に基づいています。

星取表はどこで見られる?アクセス方法

大相撲の星取表は、様々な場所や媒体で公開されています。場所中はもちろん、過去の場所の記録を見ることも可能です。

場所中にリアルタイムで見る

  • 相撲会場(国技館など):

    場所開催中の相撲会場には、大きな星取表の掲示板が設置されています。その日の取組終了後に結果が追加され、リアルタイムで更新されていく様子を見ることができます。これは会場ならではの臨場感があります。
  • NHK(テレビ・ラジオ):

    大相撲中継を行うNHKでは、中継中に画面上に随時、幕内や十両力士の途中成績やその日の結果を表示します。また、NHKのウェブサイトやアプリでも最新の星取表を確認できます。

場所中・場所後に媒体で見る

  • 日本相撲協会公式サイト:

    日本相撲協会の公式サイトでは、場所が始まると毎日、全段(幕内から序ノ口まで)の最新の星取表がPDFなどで公開されます。過去の場所の記録もアーカイブされています。これが最も公式かつ網羅的な情報源と言えます。
  • 新聞各紙:

    スポーツ新聞や一般紙のスポーツ欄には、場所中は毎日、前日の全取組結果と力士の星取表が掲載されます。特にスポーツ新聞は詳細な情報が載ることが多いです。千秋楽の翌日には、最終的な星取表が掲載されます。

  • 大相撲関連の雑誌や書籍:

    場所後に出版される大相撲雑誌などには、その場所の全取組結果と最終的な星取表が詳細に掲載されます。年間を通じての記録をまとめた書籍もあります。
  • 大相撲情報サイトやアプリ:

    民間の相撲情報に特化したウェブサイトやスマートフォンアプリでも、最新の星取表が提供されています。使いやすいインターフェースで力士ごとに検索できるものもあります。

このように、公式なものから非公式なものまで、様々な形で星取表にアクセスすることが可能です。ご自身の利用しやすい方法を選ぶと良いでしょう。

星取表はどのように見ればわかる?具体的な読み方

星取表は、多くの場合、以下のような構成になっています。(媒体によって多少異なります)

  1. まず、番付(東方と西方)ごとに力士の名前が、地位の高い順に並んでいます。
  2. 力士の名前の横に、一日目、二日目、…、十五日目と、場所の日数に対応した欄が並んでいます。
  3. それぞれの日の欄に、その日の取組結果が「星」(勝ち)か「黒丸」(負け)で記されています。
  4. 多くの場合、毎日の結果の横(または下)に、その日を終えた時点での途中成績(例:3勝2敗)が括弧書きなどで示されています。
  5. 最も右端(または最終日の結果の横)に、千秋楽を終えた時点での最終的な通算成績(例:10勝5敗)が記載されます。

特定の力士の成績を追いたい場合は、その力士の名前を見つけ、横に目を移動させていくことで、日々の勝敗の推移と途中成績、最終成績を確認できます。

例:
力士名 | 一日目 | 二日目 | 三日目 | … | 十五日目 | 最終成績
—————————————————————-
〇〇山 | ☆(1-0) | ●(1-1) | ☆(2-1) | … | ☆(10-5) | 10勝5敗

上記の例では、〇〇山という力士は、一日目に勝ち星を挙げて1勝0敗、二日目に負けて1勝1敗、三日目に勝って2勝1敗…と推移し、最終的に10勝5敗で場所を終えた、ということが読み取れます。

この表を見ることで、力士が連勝しているのか、連敗しているのか、大きな白星を挙げた日や痛い黒星を喫した日はいつかなど、場所中の詳細な戦いぶりを追体験することができます。

星取表はいつ、どのように更新される?

大相撲の星取表は、本場所の期間中、毎日更新されます。具体的には、その日の全取組が終了した後に、結果が速やかに集計され、星取表に反映されます。

会場に掲示される星取表は、職員の手によってその日の結果が記号で書き加えられていきます。公式サイトやメディアで公開されるデジタルな星取表も、その日の全取組終了後、比較的早い時間に最新の状態に更新されます。

これにより、ファンは毎晩、その日の取組結果をまとめて確認し、力士たちの最新の成績や、優勝争い、勝ち越し・負け越し争いの状況を把握することができます。この毎日更新されるライブ感が、場所中の大きな楽しみの一つとなっています。

星取表から何がわかる?なぜ重要なのか?

星取表は、単なる勝敗記録以上の多くの情報を含み、大相撲において極めて重要な役割を果たします。

力士にとっての重要性(番付への影響)

星取表に記録された最終的な勝ち星と負け星の数は、翌場所の番付(ランキング)を決定する上で最も重要な要素です。

  • 勝ち越し(かちこし):

    15日制の場合、8勝以上を挙げると「勝ち越し」となります。勝ち越した力士は、原則として翌場所の番付が上がります。勝ち星が多いほど、より大きく番付が上がる可能性が高まります。
  • 負け越し(まけこし):

    7勝以下に終わると「負け越し」となります。負け越した力士は、原則として翌場所の番付が下がります。負け星が多いほど、より大きく番付が下がる可能性が高まります。
  • 給金相撲(きんじんずもう):

    特に幕内力士にとって、8勝目を挙げて勝ち越しを決める一番は「給金相撲」と呼ばれ、経済的な面も含め非常に重要な意味を持ちます。
  • 優勝:

    幕内において、星取表上の勝ち星が最も多かった力士がその場所の優勝となります。全勝(15戦全勝)での優勝は力士にとって最高の栄誉の一つです。

このように、星取表の結果が力士の番付、収入、キャリアパスに直結するため、力士は一つでも多くの白星を積み重ねることを目指して土俵に上がります。

ファンにとっての重要性

ファンにとっても、星取表は場所を最大限に楽しむための必須アイテムです。

  • 推し力士の応援:

    応援している力士が今何勝何敗なのか、勝ち越しまであと何勝なのか、といった状況をリアルタイムで把握できます。
  • 優勝争いの把握:

    上位力士の星の増減を追うことで、誰が優勝争いの中心にいるのか、直接対決の結果がどう影響したのかなどを手に取るように理解できます。
  • 番付昇降の予測:

    各力士の最終成績を見ることで、次の場所の番付がどうなるかを予測する楽しみがあります。
  • 場所全体の流れの理解:

    星取表全体を見ることで、今場所は誰が調子が良いのか、番狂わせが多いのかなど、場所全体の傾向を把握できます。

星取表は、大相撲の場所の進行状況、個々の力士の奮闘、そして最終的な番付決定の根拠となる、まさに大相撲の「成績記録」であり「羅針盤」のようなものです。この表を読み解くことで、大相撲をより深く、具体的に楽しむことができるのです。


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