特許庁特許検索に関する様々な疑問

特許庁が提供する特許検索サービスは、日本の特許、実用新案、意匠、商標に関する情報を調べたい場合に非常に役立ちます。ここでは、このサービスについてよくある疑問を掘り下げ、その詳細を具体的に解説します。

特許庁特許検索とは何ですか?

特許庁特許検索とは、より正確には特許庁が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を通じて行われる、特許や関連する知的財産の情報を調べるためのサービスです。これは、特許庁が保有・管理する膨大な知的財産公報や関連データを一般に公開しているインターネット上のシステムを指します。
このプラットフォームを利用することで、出願された発明の内容、権利の状態、審査の経過などを具体的に知ることができます。単にキーワードで調べるだけでなく、様々な条件を組み合わせて詳細な調査を行うことが可能です。

どこで利用できますか?

特許庁特許検索(J-PlatPat)は、インターネットに接続できる環境があれば、どこでも利用可能です。特定のソフトウェアをインストールする必要はなく、ウェブブラウザを通じてアクセスします。
アクセス先は、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)が運用している特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の公式ウェブサイトになります。特許庁のウェブサイトからもリンクが張られています。特定のURLにアクセスすることで、すぐに情報の調査を開始できます。

どのように検索できますか?

J-PlatPatでは、多様な方法で情報を検索できます。単一の項目だけでなく、複数の条件を組み合わせることで、より目的に合った結果を得られます。

  • 文献番号による検索:
    特定の公開番号、公表番号、登録番号、出願番号などが分かっている場合に、その番号を指定して直接文献を調べられます。
  • キーワード検索:
    発明の名称、要約、請求の範囲、明細書などに含まれる言葉(技術用語、製品名など)を指定して調べられます。「AND」「OR」「NOT」といった演算子を使って、複数の言葉を組み合わせたり、除外したりする高度な指定も可能です。フレーズ検索(特定の語順のまとまりで調べる)やあいまい検索(類似する言葉も対象にする)も利用できます。
  • 出願人/権利者名検索:
    企業名や個人名など、出願または登録された主体名を指定して調べられます。
  • 発明者/創作者名検索:
    発明や創作に関わった個人の氏名を指定して調べられます。
  • 分類による検索:
    発明や意匠などが属する技術分野やデザインのカテゴリーを示す「分類コード」を使って調べられます。特許では、国際特許分類(IPC)、FI、Fタームといった分類が使われます。これらの分類体系をたどって、関連する文献を網羅的に調べることが可能です。
  • 日付による検索:
    出願日、公開日、登録日などの日付を指定して調べられます。「〇年以降」「〇年〇月~〇年〇月」といった期間での指定が可能です。
  • 複数の条件を組み合わせた検索:
    上記の検索項目(キーワード、出願人、分類、日付など)を複数組み合わせて、より絞り込んだ調査ができます。例えば、「A社の、特定の分類に属する技術に関する、過去5年間の特許出願」といった調べ方が可能です。

何を調べられますか?

J-PlatPatでは、主に以下のような種類の情報を調べることができます。

  • 公報情報:
    特許公報、公開特許公報、実用新案公報、登録実用新案公報、意匠公報、商標公報といった、出願や権利設定の際に発行される公式な文書の内容を閲覧できます。具体的には、発明の名称、要約、請求の範囲、明細書、図面、出願人/権利者情報、出願日、公開日、登録日などが含まれます。
  • 経過情報:
    特許出願が審査を経て登録に至るまでの手続きの状況や、権利の設定後の維持・管理に関する情報(年金納付状況など)を調べられます。出願番号や特許番号を指定して、その案件が現在どのような状態にあるかを確認できます。
  • 審判情報:
    特許庁に対して請求された審判(拒絶査定不服審判、無効審判など)に関する情報を調べられます。審判の請求人、被請求人、審理の経過、審決の内容などが含まれます。
  • 分類情報:
    特許や実用新案に付与されている分類コード(IPC、FI、Fターム)や、意匠分類、商標分類に関する情報を調べ、それを検索に利用できます。

これらの情報を参照することで、特定の技術が既に特許になっているか、競合他社がどのような技術開発を行っているか、権利が有効に存続しているかなどを具体的に把握できます。

なぜ利用するのですか?(利用目的)

特許庁特許検索(J-PlatPat)は、様々な目的で利用されます。具体的な利用例をいくつか挙げます。

  • 先行技術文献調査:
    新しい発明を思いついた際に、それが既に公開されている技術(特許や論文など)と比べて新規性や進歩性があるかを確認するために利用します。これは、特許出願を検討する上で非常に重要な事前調査です。
  • 他社の権利調査:
    自社の製品やサービスを開発・販売する際に、他社が関連する技術について特許権などの権利を取得していないかを確認するために利用します。他社の権利を侵害しないようにするための重要な調査です。
  • 技術動向調査:
    特定の技術分野で、どのような研究開発が行われているか、どの企業が積極的に出願しているかなどを調べることで、その分野の技術的なトレンドや競合状況を把握するために利用します。
  • 無効資料調査:
    他社から権利行使を受けた場合などに、その権利が無効である理由(既に知られていた技術である、など)を探すために、過去の公報や文献を調べます。
  • 権利の有効性確認:
    特定の特許が現在も有効に存続しているか、年金が適切に納付されているかなどを、経過情報や審判情報から確認するために利用します。
  • 情報収集・学習:
    特定の技術に関する詳細な情報(仕組み、構造、製造方法など)を、特許公報の明細書や図面から得ることができます。また、特許制度や知的財産について学ぶための資料としても活用されます。

利用に費用はかかりますか?

特許庁が提供する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用して、公開されている公報や経過情報などを閲覧する**基本的な利用については、費用はかかりません**。インターネット接続にかかる通信費以外に、特許庁に対して支払う利用料金は無料です。
ただし、J-PlatPatの機能ではなく、外部の民間の有料データベースを利用する場合や、調査会社に調査を依頼する場合には、別途費用が発生します。特許庁提供のJ-PlatPat自体は、一般ユーザーが無料で利用できる公開サービスです。

どんな人が利用しますか?

特許庁特許検索(J-PlatPat)は、知的財産に関わる様々な人々が利用します。

  • 企業の研究開発担当者や技術者: 新しい技術の開発や既存技術の改良を行う上で、先行技術や他社技術の調査のために頻繁に利用します。
  • 企業の知財部門担当者: 出願戦略の立案、権利管理、他社権利への対応などのために、網羅的かつ詳細な調査を行います。
  • 弁理士、弁護士: 依頼人の特許出願代理、権利侵害訴訟、無効審判などの業務において、専門的な知識を活かした調査を行います。
  • 個人発明家: 自身の発明が特許になる可能性があるか、どのような技術が既に存在するかなどを自身で調べるために利用します。
  • 大学や研究機関の研究者、学生: 研究テーマの選定、先行研究の調査、技術動向の把握などのために利用します。
  • 一般のビジネスパーソン: 競合企業の動向調査や、新しい事業アイデアの参考にするために、気軽に情報を調べます。
  • 一般市民: 特定の製品や技術に関する権利関係に興味を持った場合などに利用します。

このように、特許庁特許検索(J-PlatPat)は、専門家から一般ユーザーまで、幅広い人々にとって知的財産に関する重要な情報源となっています。提供される情報を理解し、適切に活用することで、自身の研究開発やビジネス、学習に役立てることができます。


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