郵便物転送サービスとは?

郵便物転送サービスとは、お引越しや長期の不在などで一時的に住所が変わる際に、旧住所宛てに届く郵便物を、新しい住所や指定した場所に自動的に転送してくれる便利なサービスです。日本郵便株式会社が提供しており、原則として無料で利用できます。このサービスを利用することで、住所変更の手続きが間に合わなかった場合でも、重要な郵便物を受け取り損ねる心配がなくなります。

なぜ郵便物転送が必要なのか?

郵便物転送が必要となる主な理由はいくつかあります。

  • お引越し(転居): 最も一般的な理由です。引越し後すぐにすべての差出人に新しい住所を知らせることは難しいため、郵便物転送を利用することで、しばらくの間は旧住所宛ての郵便物を新住所で受け取ることができます。これにより、金融機関からの大切な通知や、通販の明細、友人からの手紙などを見落とすことを防げます。
  • 長期の出張や旅行: 自宅を長期間留守にする際に、郵便物が溜まってしまうことを防ぎ、指定した親族の家や職場の住所などに転送してもらうことができます。
  • 入院や療養: 病院や療養施設など、自宅とは異なる場所で長期間過ごす場合に利用できます。

このように、郵便物転送サービスは、住所変更の手続き期間中の「つなぎ」として、あるいは一時的な住所変更への対応として、非常に重要な役割を果たします。

郵便物転送はどこで申し込めるの?

郵便物転送の申し込みは、主に以下の2つの方法で行うことができます。

窓口での申し込み

お近くの郵便局の窓口で申し込む方法です。

  1. 郵便局の窓口に備え付けられている「転居届」の用紙を入手します。
  2. 用紙に必要事項(旧住所、新住所、転送を希望する期間、氏名、連絡先など)を記入します。
  3. 窓口で以下の本人確認書類と、旧住所の確認ができる書類を提示して提出します。

    • 本人確認書類の例: 運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)、健康保険証、在留カード、特別永住者証明書など、氏名と生年月日または住所が記載されており、有効期限内のもの。
    • 旧住所の確認ができる書類の例: 運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)、住民票、旧住所が記載された公的機関発行の書類など。運転免許証など、本人確認書類と旧住所確認書類を兼ねられる場合もあります。
  4. 手続きが完了すると、「転居届受付確認票」が交付されます。

【注意点】
代理人が提出する場合は、届出人(転居する本人)の本人確認書類のコピーと、代理人の本人確認書類、代理権を証明する書類(委任状など)が必要です。

ウェブサイト(e転居)での申し込み

インターネットに接続できる環境があれば、日本郵便のウェブサイト「e転居」から申し込むことができます。郵便局に行く時間がない方や、手軽に手続きを済ませたい方におすすめです。

  1. 日本郵便のウェブサイト「e転居」にアクセスします。
  2. 「e転居」の利用登録を行います(初回のみ)。メールアドレスやパスワードなどを設定します。

  3. 登録した情報でログインし、転居届情報の入力画面に進みます。
  4. 旧住所、新住所、転送を希望する期間、氏名、連絡先などを入力します。
  5. 入力内容を確認後、本人確認の手続きを行います。e転居での本人確認は、主に以下の方法があります。

    • マイナポータル連携: マイナンバーカードを利用してマイナポータルと連携し、本人確認を行う方法です。
    • クレジットカードでの認証: ご自身の名義のクレジットカード情報を入力し、本人確認を行う方法です。この際、カード番号などは認証にのみ利用され、決済は発生しません。
  6. 本人確認が完了すると、申し込みが受け付けられます。後日、旧住所または新住所に確認の書面(転居届受付確認書など)が送付される場合があります。

【注意点】
e転居を利用するには、事前に利用登録が必要です。また、本人確認の方法が窓口とは異なりますので、利用しやすい方法を選択してください。

どちらの方法で申し込む場合でも、転居する本人または世帯主からの申し込みが必要です。家族で転居する場合は、代表者(通常は世帯主)がまとめて届け出ることができます。

郵便物転送に費用はかかるの?期間はどれくらい?

多くの方が気になる点ですが、郵便物転送サービスは、原則として無料で利用できます。申し込み自体に手数料はかかりません。

転送期間は、申し込み日から1年間です。

例えば、4月1日に転居届を提出した場合、翌年の3月31日まで郵便物が転送されます。

転送期間の延長について

標準の1年では新住所への住所変更が間に合わない場合や、さらに長期間の転送が必要な場合は、さらに1年間延長することができます。つまり、最長で合計2年間転送サービスを利用可能です。延長の手続きは、最初の転送期間が終了する前に、再度郵便局の窓口かe転居から行う必要があります。延長の手続きも無料です。

ただし、2年間の転送期間が終了した後は、基本的に転送サービスを継続利用することはできません。その期間内に、すべての差出人への住所変更手続きを完了させることが重要です。

申し込み後の流れはどうなる?

郵便物転送を申し込んだ後の流れは以下のようになります。

  1. 申し込み: 郵便局窓口またはe転居から転居届を提出します。
  2. 日本郵便での確認・登録: 提出された転居届の内容が確認され、郵便局内のシステムに登録されます。不正な届け出を防ぐため、旧住所宛てに確認書類が送付されたり、郵便局員が旧住所を訪問して確認を行う場合があります。この確認には数日かかることがあります。
  3. 転送開始: 確認・登録が完了すると、旧住所宛てに届いた郵便物が新住所へ転送されるようになります。申し込みから転送開始までには、通常、数営業日かかります。お引越し当日から確実に転送を開始するためには、お引越し予定日の1週間~2週間前に申し込みを済ませておくのがおすすめです。
  4. 転送される郵便物の配達: 転送された郵便物には「転送」のスタンプが押されたり、転送用のシールが貼られたりして、新住所に配達されます。

どんな郵便物が転送されるの?転送されないものは?

郵便物転送サービスでは、基本的に旧住所宛てに差し出されたすべての郵便物が転送されます。

  • 通常郵便物(ハガキ、手紙、定形外郵便物など)
  • ゆうメール
  • ゆうパケット
  • 追跡サービス付きのゆうメールやゆうパケット(一部例外あり)

ただし、以下の郵便物や荷物については、サービスの性質上または配達記録の観点から、原則として転送されません。

  • ゆうパック: 荷物の種類によっては転送される場合もありますが、原則として転送対象外です。
  • 書留(一般書留、現金書留、簡易書留): 受領印が必要な郵便物であるため、原則転送されません。差出人に返還されるか、郵便局で一定期間保管後、返還されます。
  • 本人限定受取郵便: 受取人が本人であることを厳格に確認して交付されるため、原則転送されません。
  • 代金引換郵便物・荷物: 配達時に代金の支払いが必要なため、転送されません。
  • 特別送達: 裁判所の書類など、法令によって送達方法が定められているものであり、転送されません。
  • 転送不要と記載された郵便物: 差出人が「転送不要」の指示を付している郵便物(例:クレジットカードやキャッシュカード、重要な通知など)は、新しい住所への転送は行われず、旧住所で受領できない場合は差出人に返還されます。

転送されない郵便物の中には、再配達の依頼や差出人への連絡が必要になる重要なものが多く含まれます。特に「転送不要」郵便物が届く可能性のある金融機関や重要な契約先などへは、早めに住所変更手続きを行うことが非常に重要です。

郵便物転送を利用する際の注意点

郵便物転送サービスは便利ですが、いくつか注意しておきたい点があります。

  • 早めの手続き: お引越しや長期不在の予定が決まったら、できるだけ早く(目安として1~2週間前には)転居届を提出しましょう。手続きや確認に時間がかかる場合があり、直前の申し込みでは希望する開始日に間に合わない可能性があります。
  • 転送期間の確認と延長手続き: 転送期間は原則1年間です。この期間が終了すると、旧住所宛ての郵便物は転送されなくなります。1年で住所変更手続きが完了しない場合は、期間終了前に忘れずに延長手続きを行ってください。最長2年間転送可能ですが、それ以降は転送されません。
  • 全ての差出人が新住所を知るわけではない: 郵便物転送はあくまで日本郵便のサービスであり、差出人があなたの新住所を知るわけではありません。重要な連絡先(銀行、保険会社、携帯電話会社、通販サイト、友人・知人など)へは、別途、個別に住所変更の連絡を行う必要があります。転送期間は、これらの住所変更手続きを行うための猶予期間と考えましょう。

  • 転送されない郵便物があることを理解する: 前述の通り、ゆうパック、書留、本人限定受取、代金引換、転送不要郵便などは転送されません。これらの郵便物が届く可能性がある場合は、旧住所への確認や、関係各所への速やかな住所変更手続きがより重要になります。
  • 旧住所での誤送の可能性: ごく稀に、転送期間中にもかかわらず、旧住所に誤って配達されてしまう可能性もゼロではありません。特に転送開始直後や、転送期間終了間際には注意が必要です。
  • 世帯単位での届け出: 転居届は世帯単位で届け出るのが一般的です。家族全員で転居する場合は、世帯主がまとめて届け出ると手続きがスムーズです。単身の場合は本人が届け出ます。

転送期間が終了したらどうなる?

設定した転送期間(最大2年間)が終了すると、旧住所宛てに差し出された郵便物は、原則として新住所へは転送されなくなります。

転送期間終了後に旧住所宛てに届いた郵便物は、以下のいずれかの扱いになります。

  • 差出人に返還: 「あて所に尋ねあたりません」や「転送期間満了」などの理由で、郵便物が差出人に返還されます。
  • 保管後返還または廃棄: 郵便局で一定期間保管された後、差出人に返還されるか、受取人がいないものとして処理(廃棄など)される場合があります。
  • 旧住所に住んでいる方に渡る可能性: 旧住所に新しい居住者がいる場合、誤ってその方に配達されてしまうリスクもゼロではありません。

転送期間終了後も旧住所宛ての郵便物があるということは、まだ一部の差出人があなたの新しい住所を把握していないということです。重要な連絡が途絶えるリスクがあるため、転送期間内に全ての住所変更を完了させることの重要性を改めて認識しておきましょう。

まとめ

郵便物転送サービスは、お引越しや長期不在の際に、旧住所宛ての郵便物を指定の場所へ転送してくれる、無料かつ非常に便利なサービスです。郵便局窓口またはウェブサイト「e転居」から簡単に申し込むことができ、本人確認書類が必要です。

転送期間は原則1年間で、最大2年間まで延長可能ですが、転送されない郵便物がある点や、期間終了後は転送されなくなる点に注意が必要です。このサービスを賢く利用して、大切な郵便物を受け取り損ねることなく、スムーズに新しい生活をスタートさせましょう。そして、転送期間中に忘れずにすべての連絡先へ住所変更の通知を行うことが、長期的に郵便物のトラブルを避けるための鍵となります。

郵便物転送

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