雇用保険の加入条件とは?基本を知る

雇用保険は、労働者が失業した場合や、育児・介護などで休業した場合に、生活や雇用の安定を図るための重要な社会保険制度です。すべての労働者が加入できるわけではなく、法律で定められたいくつかの「加入条件」を満たす必要があります。

ここでは、あなたが「雇用保険に加入する対象となるのか?」「いつから加入するのか?」「どうすれば加入できるのか?」といった疑問を解消できるよう、具体的な条件や手続きについて詳しく解説します。

雇用保険への加入、満たすべき主要な条件

雇用保険の被保険者となるためには、主に以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。これらの条件は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員など、雇用形態に関わらず適用されます。

  1. 「適用事業所」に雇用されていること

    雇用保険の適用事業所(ほとんどの会社が該当します)で働いている必要があります。雇用保険の適用事業所には、労働者を一人でも雇用している法人事業所や、常時5人以上の労働者を雇用する個人事業所などが原則として強制適用事業所となります。一部の事業所は任意適用事業所となりますが、基本的には多くの働く場が該当します。

  2. 1週間の所定労働時間が「20時間以上」であること

    雇用契約において、週あたりに働くことが決められている時間(所定労働時間)が20時間以上であることが必要です。例えば、1日4時間勤務でも週5日働く場合は4時間 × 5日 = 20時間となり、この条件を満たします。残業時間は、この所定労働時間には含みません。

    ※週によって労働時間が変動する場合、契約や過去の勤務実績などから合理的に見込まれる1週間の平均労働時間で判断されることがあります。

  3. 「31日以上」引き続き雇用される見込みがあること

    雇用契約書などで、その事業主に31日以上引き続き雇用されることが見込まれている必要があります。例えば、以下のいずれかに該当する場合などがこれに当たります。

    • 雇用契約に更新の定めがあり、かつ「更新される場合がある」旨が明記されている場合
    • 雇用契約に更新の定めはないが、過去の雇用実績等からみて31日以上雇用されることが見込まれる場合
    • 雇用契約に更新の定めがあり、「更新される場合がある」旨が明記されているが、契約期間が31日未満であり、かつ雇止めの事由が明記されていない場合

    当初の契約期間が31日未満であっても、上記のように更新の可能性や実績から31日以上の雇用が見込まれれば、この条件を満たします。

どんな人が雇用保険に加入する義務があるの?

上記の3つの加入条件をすべて満たす労働者は、原則として雇用形態(正社員、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員など)にかかわらず、雇用保険への加入が義務付けられています

  • フルタイムで働く労働者(正社員、契約社員など)は、通常これらの条件を満たすため、原則として全員が加入対象です。
  • パートタイマーやアルバイトも、週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがあれば、加入対象となります。
  • 派遣社員の場合、雇用契約を結んでいる派遣元会社において、上記の条件を満たせば加入対象となります。

会社(事業主)は、これらの条件を満たす労働者を雇用した場合、法律に基づいて雇用保険の被保険者とするための手続きを行う義務があります。

雇用保険の加入が「適用除外」となるのはどんな人?

以下のいずれかに該当する場合、上記の条件を満たしていても原則として雇用保険の被保険者とはなりません。

  • 会社の代表取締役や役員(ただし、従業員としての側面も持ち、役員報酬とは別に労働の対価としての賃金を得ている等、労働者としての実態が明確な場合は、ハローワークの判断により例外的に加入できることがあります。)
  • 昼間学生(ただし、卒業見込み証明書があり、卒業前から就職する予定で働き始める場合や、休学中の場合、夜間部・定時制などで働きながら学んでいる場合などは、加入条件を満たせば加入できることがあります。)
  • 高年齢受給資格者(65歳に到達する前から同一事業主に引き続き雇用されている者で、かつ、一般被保険者期間が一定期間以上ある者については、例外規定や特例があります。2017年1月1日以降に新たに65歳以上で雇用される場合は、加入条件を満たせば高年齢被保険者として加入対象となります。)
  • 季節的に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者(特定の条件を満たせば短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者となる場合あり)
  • 船員保険の被保険者
  • 国や都道府県、市町村などの事業に雇用される者で、離職に際し他の法令により基本手当に相当する給付を受けることができる者

ご自身の状況が適用除外に当たるかどうか不明な場合は、事業主または最寄りのハローワークに確認することが最も確実です。

雇用保険に加入するとどんなメリットがあるの?

雇用保険に加入することで、万が一の失業だけでなく、様々なライフイベントやキャリア形成において国からの支援を受ける資格を得ることができます。

主なメリットは以下の通りです。

  • 求職者給付(いわゆる失業保険):自己都合や会社都合で離職し、再就職を目指す期間の生活を支援するための給付金。
  • 就職促進給付:早期の再就職を支援するための給付金(再就職手当、就業促進定着手当など)。
  • 教育訓練給付:厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講した場合に、受講費用の一部が支給される制度。スキルアップやキャリアチェンジを支援します。
  • 雇用継続給付:育児や介護のために休業した場合に支給される「育児休業給付金」「介護休業給付金」、60歳以降も働き続ける場合に賃金が下がった場合に支給される「高年齢雇用継続給付」。

これらの給付を受けるためには、さらに雇用保険の加入期間(被保険者期間)や離職理由、休業の状況など、個別の条件を満たす必要があります。しかし、雇用保険に加入していなければ、そもそもこれらの給付を申請する資格すら得られません。

雇用保険は、働く人たちの「もしも」の時のための重要なセーフティネットであり、また、働き続けることや能力開発を応援する公的な制度なのです。

雇用保険への加入手続きは誰が、どうやるの?いつから?

雇用保険の加入手続きは、原則として労働者を雇用した事業主(会社)が行う義務があります。

いつから?
加入条件を満たした労働者を雇用したその日(雇用した日)から、雇用保険の被保険者となります。

どうやって?

  1. 事業主による雇用条件の確認:事業主は、新たに雇用する労働者の雇用条件(週の労働時間や雇用見込み期間など)を確認し、加入条件を満たすかどうかを判断します。

  2. 被保険者資格取得届の作成・提出:加入条件を満たす労働者については、事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」を作成します。この届出は、労働者を雇用した日(資格取得日)の属する月の翌月10日までに、管轄のハローワークに提出する必要があります。電子申請も可能です。

  3. 雇用保険被保険者証の交付:ハローワークでの手続きが完了すると、ハローワークから事業主宛に「雇用保険被保険者証」が交付されます。事業主は、この被保険者証をその労働者に渡します。被保険者証にはあなたの雇用保険被保険者番号が記載されており、将来、失業給付等を受ける際に必要となる非常に重要な書類です。大切に保管してください。

原則として、労働者自身がハローワークに行って加入手続きをする必要はありません。もし、あなたが加入条件を満たしているにも関わらず、会社が手続きをしてくれない場合は、まず会社に確認し、それでも解決しない場合は、ご自身で管轄のハローワークに相談することができます。

雇用保険料はいくら?どうやって支払われるの?

雇用保険の保険料は、労働者の賃金(原則として税引き前の総支給額、通勤手当なども含む)に、定められた保険料率をかけて計算されます。

  • この保険料は、事業主と労働者が両方で負担します。
  • 労働者負担分の保険料は、通常、毎月の給与から自動的に天引きされる形で支払われます。
  • 事業主は、労働者から徴収した保険料と、事業主自身が負担する分の保険料を合わせて、国に納付します。

雇用保険料率は、毎年見直される可能性があり、業種(一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業)によって異なる場合があります。具体的な料率は、厚生労働省のウェブサイトや、毎年の雇用保険料率表で確認できます。

給与明細に「雇用保険料」として控除額が記載されていれば、雇用保険に加入していることになります。

知っておきたいその他のポイント

  • 雇用条件の変更による加入:働き始めた当初は週20時間未満の勤務だったが、後から契約内容が変更になり、週20時間以上の勤務になった場合は、その契約変更により条件を満たした時点から雇用保険の加入対象となります。事業主は速やかに資格取得届を提出する必要があります。

  • 過去の加入歴と被保険者番号:雇用保険被保険者番号は、一度取得すると原則として一生涯同じ番号が使われます。転職した場合でも、新しい会社にその番号を伝えることで、それまでの加入期間が引き継がれます。過去の被保険者番号が不明な場合は、前の会社の離職票などで確認するか、ハローワークに問い合わせれば調べてもらえます。

  • 被保険者資格の喪失:離職した、死亡した、適用除外の条件に該当するようになったなど、雇用保険の加入条件を満たさなくなった場合は、雇用保険の被保険者資格を失います。この場合、事業主は「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークに提出します。

ご自身の雇用保険の加入状況や、現在の働き方で加入条件を満たしているか不明な場合は、まずは会社の担当者に確認し、それでも疑問が解消されない場合は、最寄りのハローワークに直接問い合わせてみることをお勧めします。ご自身の雇用保険加入は、将来の安心に繋がる大切な権利です。

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